海外でクレジットカード決済をすると、カード会社の提示する『為替レート』に『海外事務手数料』が上乗せされて、請求されてしまいます。
①為替レート:カード会社によって異なる
②海外事務手数料*:約1.63%~
*カード会社によっては「為替事務手数料」「海外ショッピング手数料」「外貨取扱手数料」などと表記されている場合があります。
①為替レート
為替レートは国際ブランドごとに公表されています。以下から確認可。
・VISA: ExchangeRateComp | Visa
・Mastercard: Mastercard® Currency Conversion Calculator | Mastercard
・JCB: Base rate | JCB
交換する通貨や時期などによって優劣は異なるものの、平均すると概ね、
Mastercard > JCB > VISA > American Express > Diners Club
の順に為替レートは有利になる場合が多いというのが通説です。
②海外事務手数料
為替手数料は国際ブランドごとにざっくり分けると以下のとおり。
VISA:1.63%
MasterCard:1.63%
JCB:1.60%
AMERICAN EXPRESS:2.00%
Diners Club:1.30%
中には上記以上に手数料がかかるカードもあります(例:MUFGカード(VISA | Mastercard)の為替事務手数料は両方とも2.16%)。
※プリペイドカードの場合は3~4%、デビットカードの場合は1.6~3%とするカードが多いです。
そこで今回は、海外での決済手数料を安くするために、①有利な為替レートで交換し、②海外事務手数料を(ほぼ)ゼロにできるデビットカード/プリペイドカード/クレジットカードを紹介します。
1.Sony Bank WALLET (VISAデビットカード)
ソニー銀行に口座を開設するともらえる、デビット機能付キャッシュカードの『Sony Bank WALLET』。VISAデビットカードなので、VISA加盟店で使用できます(ガソリンスタンドや有料道路など一部使用できない加盟店あり[詳細])。
ソニー銀行では「円普通預金口座」の他に「外貨普通預金口座」をつくることができ、現地通貨でそのまま支払った場合海外事務手数料は無料になります。
1.円を預ける→現地でデビットカードを使う→海外事務手数料1.76%
2.円を預ける→ソニー銀行で現地通貨に交換しておく→現地でデビットカードを使う→海外事務手数料0円
ソニー銀行の為替レート
ソニー銀行の為替レートは以下から確認可能。
ソニー銀行の為替コスト
ソニー銀行で現地通貨を購入(例えば円→米ドル)する場合、15銭~の交換手数料(為替コスト)がかかります。為替コストは通貨によって異なります。
米ドル:15銭
ユーロ:15銭
英ポンド:45銭
豪ドル:45銭
例えば、ソニー銀行の為替レートが「110.67円/米ドル」のときに100米ドル購入したとすると、
・(110.67 + 0.15) * 100 = 11,082円(合計手数料15円)
現地通貨交換の際に為替コストはかかるものの、クレジットカードの海外事務手数料よりもはるかに安く済ますことができます。
外貨(米ドルやユーロなど)の購入はソニー銀行にログインすれば簡単にできます。
2.マネパカード(Mastercardプリペイドカード)
FX業者マネーパートナーズの発行するMastercardプリペイドカード『マネパカード』。Mastercardプリペイドカードなので、Mastercard加盟店で使えます(ガソリンスタンドや有料道路など一部使用できない加盟店あり)。
FXレート(為替レート)
マネパカードはマネーパートナーズで提供する『FXレート』を用いて円⇔外貨を交換することができます(スプレッドは0.3銭~)。FXレートは口座開設後、ログインすると確認できます。
・ログイン画面:https://www.moneypartners.co.jp/login/
・各通貨スプレッド一覧:https://www.moneypartners.co.jp/fx/partnersfx/commission.html
『マネパカード』のみでも外貨に両替してチャージできますが、『マネーパートナーズのFX口座』も合わせて作った方が交換の際の手数料を安く済ますことができます。
マネパカードのみの場合
・マネパカード口座に入金(銀行振込) → 銀行の振込手数料がかかる
・円を現地通貨(米ドルなど)に外貨両替 → 1通貨あたり80銭~の両替手数料がかかる[ユーロ:1円、英ポンド:1.3円、豪ドル:0.7円、香港ドル:0.1円]
・マネパカードにチャージ → チャージ手数料は無料
・海外でマネパカードで支払う → 支払い手数料無料
例:三菱UFJ銀行を使って振込(270円)→FXレートの米ドル円が買110.69/売110.66のときに100米ドル購入(スプレッド0.15円+外貨両替手数料80円)→マネパカードに100米ドルチャージ(無料)→マネパカードで支払い(無料)
合計手数料:270円 + 80.15円
FX口座(の現受けを)使ってマネパカードにチャージする場合
・FX口座に入金(銀行振込) → クイック入金利用で振込手数料無料(対応銀行一覧)
・FX口座で現地通貨(米ドルなど)を新規注文 → スプレッド0.3銭~(スプレッド一覧)
・現地通貨ポジションをそのまま買い取る(現受け) → 現受手数料10銭
・マネパカードにチャージ → チャージ手数料は無料
・海外でマネパカードで支払う → 支払い手数料無料
例:三菱UFJ銀行を使ってクイック入金(無料)→FXレートの米ドル円が買110.69/売110.66のときに100米ドルの新規注文(スプレッド分15円)→100米ドルを現受け(手数料10円)→マネパカードにチャージ(無料)→マネパカードで支払い(無料)
合計手数料:10.15円
FX口座を利用してマネパカードにチャージすれば手数料を安くできました。自分で納得のいくレートで交換したい場合はよい選択肢となりそうです。ただし現受けに対応している通貨は5通貨(米ドル/ユーロ/英ポンド/豪ドル/香港ドル)のみである点には注意。
ピーチマネパカード
2018年6月29日からLCCの「ピーチ」と連携した『Peach Manepa Card』が登場しました。
マネパカードの機能に加えて「Peachの会員限定航空券セール」「Peach機内食10%OFF」「Peach国内ゲート店10%OFF」などの特典が得られるので、こちらを申し込んだ方がお得です。
詳細:プリペイド機能付きPeach Card | Peach Aviation
コールセンターに問い合わせたところ、既存のマネパカードからの切替はできない(一旦解約して新規契約してもダメ)とのことでした。残念。今後の対応に期待。
3.クレジットカード
Sony Bank WALLETとマネパカードは海外決済時の手数料をほぼ0円にできる優良カードですが、
・デビットカード/プリペイドカードであるため使えない加盟店あり
・海外の支払いではポイントやキャッシュバックが付かない(カードが多い)
・事前に外貨に交換する手間がかかる(交換しない場合手数料が増え、ポイント等付かない分クレジットカードより割高となる)
というデメリットがあります。
そこでやはりいつでも決済できるクレジットカードも決済用カードとしてもっておきたいところです。
・海外事務手数料(1.63%~) < クレジットカードの付与ポイント
であれば実質手数料となるので、海外での使用に有望なクレジットカードを目的別に選出してみました。
3-1.REXカード
REXカードは年会費無料でポイント還元率は1.25%という高コスパクレジットカードです。付与されたポイントは『Jリボ』に交換することで、次回の決済分から値引きすることができます(実質現金還元)。
REXカードの海外事務手数料は1.63%なので、
・海外事務手数料1.63%~ ▲ ポイント1.25% = 0.38%
海外での決済手数料は実質0.38%まで安くできます(海外事務手数料詳細 | JACCS)。
外貨交換やリボ払い設定をせずに手数料を安くすることができるため、時間効率のよいカードといえるでしょう。
3-2.ANA VISAワイドゴールドカード
飛行機は全日空(ANA)に乗ると決めているなら定番のカード『ANA VISAワイドゴールドカード』。通常年会費は14,000円+税ですが、リボ払い(マイ・ペイすリボ)設定とWeb明細書サービスを利用をすることで9,500円+税になります。
ワールドプレゼントポイントとワールドプレゼントボーナスポイント
決済額や設定に応じて『ワールドプレゼントポイント』と『ワールドプレゼントボーナスポイント』をもらうことができます。
1.1000円につき1ポイント:10マイルに交換可
2.マイ・ペイすリボ設定で1000円につき1ボーナスポイント:3マイルに交換可
3.(年間300万円以上決済の場合)10万円につき60ボーナスポイント(1000円あたりにすると0.6):3マイルに交換可
合計すると1000円あたり1.48%のANAマイルを入手可能です。
ソラチカカードでボーナスポイントの還元率UP
ソラチカカードを取得すると『メトロポイント』を貯めることができるようになります。ANA VISAワイドゴールドカードで貯まる1ボーナスポイントは通常3ANAマイルとなりますが、メトロポイントを経由することで4.05マイルに還元率を上げることができます。
ボーナスポイント[1P]→Gポイント[5P]→LINEポイント[5P]→メトロポイント[4.5P](0.9倍)→4.05ANAマイル(0.9倍)
上記の例でいけば、ボーナスポイントは1000円あたり1.6%貯まるので、
0.16% x 4.05ANAマイル = 0.648%
ソラチカカードを併用すれば最終的にANA VISAワイドゴールドカードの還元率は1.648%となります。
海外事務手数料
ANA VISAワイドゴールドカードの海外事務手数料とANAマイル最大付与率は以下のとおり。
・海外事務手数料:1.63%
・ANAマイル:1.648%
1ANAマイルは使い方によって2円以上の価値になるので、ANAを利用すると決めているのなら、ANA VISAワイドゴールドカードで海外事務手数料を大きく上回るマイルを獲得できそうです。
3-3.MileagePlus MUFGカード ゴールドプレステージ
ユナイテッド航空(UA)派ならUAのマイルが貯まる『MileagePlus MUFGカード ゴールドプレステージ』がオススメです。通常年会費15,000+税ですが、リボ払い(楽Pay)設定で3000円(税込)安くなります(詳細)。
UAマイル
MileagePlus MUFGカード ゴールドプレステージは国内で利用した場合と海外で利用した場合によってマイル付与率が変わります。また、楽Pay(リボ払い)の手数料が1円以上発生した月は付与率が2倍になります。
- | 楽payなし | 楽payあり |
---|---|---|
国内 | 100円につき1マイル | 100円につき2マイル |
海外 | 100円につき1.5マイル | 100円につき3マイル |
海外事務手数料
MUFGカードの海外事務手数料は2.16%となります。単純にマイル付与率から差し引くと、
・国内楽Payなし:2.16% ▲ 1% = 1.16%
・国内楽Payあり:2.16% ▲ 2% = 0.16%
・海外楽Payなし:2.16% ▲ 1.5% = 0.66%
・海外楽Payあり:2.16% ▲ 3% = ▲0.84%
1UAマイルの価値は使い方によっては1.5円~となるので、ユナイテッド航空を使うと決めているならMileagePlus MUFGカード ゴールドプレステージに決済を集中させれば、海外事務手数料を上回るUAマイルを獲得できそうです。
結論
以上、海外での決済手数料をほぼ無料にできるカード5選でした。
①とにかく現金で安くしたい派→Sony Bank WALLET | マネパカード | REXカード
②海外旅行中に両替手数料とかリボ払いとか考えたくない派→REXカード
③ANAマイルをなんとしてでも貯めてやる派→ANA VISAワイドゴールドカード
④UAマイルをなんとしてでも貯めてやる派→MileagePlus MUFGカード ゴールドプレステージ
といった選択が良いのはないかと思いました。